(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)
江戸のメディア王として、日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築いた人物“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の生涯を描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』。史実と同様、ドラマ内では佐野政言が田沼意次の嫡男・意知を斬りつけ、絶命させるに至りました。代々番士を務めた由緒ある家柄にもかかわらず、時代の波に翻弄され、次第に追い込まれていった政言。演じた矢本悠馬さんにお話をうかがいました。(取材・文:婦人公論.jp編集部)

最初の場面は何かしでかしそうな“いやらしさ”を

役を頂いた最初から、「田沼意知を殺める」という事実は知らされていました。

なので、これからどういう展開になっていくんだろうというワクワク感がありつつも、メインキャストを殺さなければいけないのは重大な責務だなって。それについての緊張感を覚えた、というのが第一印象です。

また佐野政言の家族は姉や妹とか、女性ばかりのなかの男1人とも聞いていたので、“男らしさ”というより”アンニュイ”な感じで演じたい、という思いはありました。

最初の場面は、本当にワンシーンだけで、セリフもひと言ふた言。

プロデューサーと演出の方からは「不気味でヒール的な印象を出してほしい」と言われていたので、その姿勢で演じました。カメラマンも、目や口元を印象的に撮ってくれたし、実際に何かしでかしそうな“いやらしさ”を表現できたと思います。