101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが綴った、毎日の小さな喜びを大切に、前向きに悔いの残らない時間を過ごす生き方。エッセイ集『101歳。ひとり暮らしの心得』(中央公論新社)から幸せな暮らし方の秘訣を紹介します。

<生きていることが楽しくなる秘訣>

衰えていく自分をうまくあやし、下り坂の風景を味わう

人間、101年も生きていると、身体のあちこちにガタがきます。

生来丈夫だった私も、ここ数年、身体の不如意に悩まされています。生活を手伝ってくれる身内はいるものの、ひとりの寂しさを感じることもあるし、肉体の衰えがまったくつらくないかといえば嘘になります。

ただ、これは今の私が見なくてはいけない風景だと思って、自分でうまくあやすようにしています。

 

(写真:stock.adobe.com)

 

人生の上り坂のときは、若さゆえの不寛容もあるのでしょう。人に対しても「この人、どうしてこれができないのかしら」などと思ったりもしました。

今は、人にはそれぞれの体力があるし、できることの量も一人ひとり違うのだと理解できます。

上り坂の風景もなかなかいいものですが、下り坂になったからこそ、見えるものもあります。それを今は、全身で味わっています。

 

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