孤立感が介護者をさらに精神的に追い詰める
老老介護における精神的なストレスの一因には、他者とのつながりが欠如していることも挙げられる。介護者は、自らの負担を他者に伝えようとしない。
「自分一人で何とかしなければならないと思っていました」
認知症になった夫の介護をしていた前出の女性がそう語ったように、孤立感が介護者をさらに精神的に追い詰める要因となっている。介護者の多くは、高齢であるがゆえに新しい生活技術を身につけることが難しく、家事や介護の基本的な知識が不足していることもある。そのため小さな問題でもうまく対処できず、不安や焦りがつのりやすい。
※本稿は、『衝撃ルポ 介護大崩壊 お金があっても安心できない!』(宝島社)の一部を再編集したものです。
『衝撃ルポ 介護大崩壊 お金があっても安心できない!』(著:甚野博則/宝島社)
絶望的な人手不足、高齢化する介護職員、虐待を放置する悪徳施設、介護保険と介護ビジネスを食い物にする輩――。
「団塊の世代」が全員75歳以上になる2025年は「介護崩壊元年」とされるが、現場ではすでに崩壊は始まっている。
タブーな介護現場のリアルを、実例とともに徹底レポート。