自信を失ったらそこで終了
今年に入り、私自身が実家の両親の介護のことで悩み、にっちもさっちもいかず落ち込んでいる日々が。そんななか、ふとテレビを点けたら、画面の中の世界は安定に明るくてバカバカしくて、気づいたら声を出して笑っていた。「そっか、世の中には、こういう気持ちでテレビを観てくれている人がいるんだ」と改めて感じた次第で。
とは言えこの仕事、いくらやりたいと思っても需要がないとやれない。才能がある面白い芸人やタレントさんは山ほどいるし、今後もどんどん出てくる。私なんていなくても全くもって支障はない。こんな年老いたゴリラフェイスの膝が人面瘡みたいになっている、口を開けば不快な事しか言わない鼻つまみ者のおばさんなんて誰が見たいと思うのだろう……。
やばい。自信を失ったらそこで終了です。そうだ、アレも面白かったじゃない。「スケベなカッパか!」って、あそこで言えた佳代子、最高!
※本稿は、『パジャマあるよと言われても』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。
『パジャマあるよと言われても』(著:大久保佳代子/マガジンハウス)
本書は大久保佳代子さんが『POPEYE』と『Tarzan』で足掛け12年以上にわたって連載してきた120本以上のエッセイをまとめた一冊です。
「ガテン系男子にカヨコを差し入れ」という濃い目の妄想から、「老後を見据えてVIO脱毛」というアラフィフの現実まで、縦横無尽な“カヨコワールド”が展開されています!