甘え過ぎは禁物と常に肝に銘じている

あと、この年齢になり「来るべくして来た」親の介護問題。まさに今、高齢の父親の介護が始まり現在進行形で頭を悩ませ中。実家(愛知県)と離れた東京で仕事をしているため、思うように動けない。限られた時間で帰省し、ベターだと思うことをやろうとするが、すでに父親には理解してもらえず、やり切れない思いの連続で。

そんな時、同級生Sちゃんが、まさに救世主となってくれて。父親の病院へ付き添ってくれたり、介護疲れしている母親の話し相手になってくれたり。本来、娘である私がしなければいけないことを引き受けてくれている。Sちゃんは、数年前、介護の末に両親を見送っていて言わば先輩。Kちゃんも母親を見送っている。経験者である彼女らの言葉は、すんなり聞けてとても参考になるし心強い。

大久保佳代子
(写真提供:マガジンハウス)

私にやれることはと考え、Sちゃんに「母親の愚痴を聞いてくれたら、一回5千円払うよ」と提案したことが。すると「やめてよ。それより飲んだ時にでも奢って」と大人の返答が。お金でなんとかしようとした自分が恥ずかしい。ここまで荒波の芸能界で生きてきた自分もそれなりに頑張ってきた自負はある。でも地元を離れず、日々粛々と仕事をして、親の面倒を見切った彼女らの人生も、人間としての真っ当さと潔ささえも感じる。

とは言え、Sちゃんの生活だってもちろんあるわけで。いくら信頼なる同級生だからと甘え過ぎは禁物と常に肝に銘じている。昔から、どんな人間関係でも近づき過ぎるとろくなことがないと思っていて。会う時間が増えると相手の嫌なところが目に付いてしまいがちだし、もちろん、自分の嫌なところが露わになる可能性だって増える。お互い好きなままでいたいから。ベッタリしすぎない、期待し過ぎない、知ろうとし過ぎないの「三無」で。