熱帯果樹が普及するか
既存の農産物の生産適地が北上する一方、国内で栽培が難しいと考えられてきた作物が普及する可能性も出てきました。やはり農研機構が25年3月に発表した成果に「温暖化に対応したミカンとアボカドの適地予測マップ」があります。これによると、現在はごく一部に限られるアボカドの適地が今世紀末には北日本を除く沿岸部に拡大しそうです。
愛媛県の松山市は、アボカドを新たな名物にしようと、全国に先駆けてアボカドの産地づくりをしてきました。
同県八幡浜市で柑橘類を生産する株式会社柑高地の梶谷光弘さんは、オーストラリア原産の熱帯果樹「キャビアライム」(フィンガーライム)の栽培を始めました。輪切りにすると、プチプチとした中身が現れ、まるでキャビアのようです。柑橘類ですが山椒のような清涼感が味わえるのが特徴で、料理のアクセントや、炭酸水やカクテルに粒を浮かべるなどして使えます。
今後も珍しい野菜や果物が次々日本産として登場し、私たちの食卓を賑わせてくれるのかもしれません。
※本稿は、『農業ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
『農業ビジネス』(著:山口亮子/クロスメディア・パブリッシング)
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