(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
農林水産省によると、令和6年の基幹的農業従事者の平均年齢は69.2歳で、高齢化が進行しています。そのようななか、ジャーナリストの山口亮子さんは「すでに始まっている『大量離農』により、農業地図が大きく塗り替わろうとしている」と話します。そこで今回は、山口さんの著書『農業ビジネス』から、農業現場の実情と最新事例を一部ご紹介します。

生産だけでない! 食品企業と化す農業法人

群馬県昭和村を拠点に年商50億円のグループを築き、「カリスマ農家」の異名をとるのが、澤浦彰治さんです。

経済産業省によると、中小企業1社当たりの売上高は1.8億円(2021年)ですから、澤浦さん率いる農業法人の野菜くらぶとグリンリーフは、中小企業のなかでも極めて大きい部類となります。儲かる農業の体現者といえるでしょう。

澤浦さんは1990年代に地元の有機農家を束ね、モスバーガーを展開する株式会社モスフードサービス(東京都)とレタスの契約栽培を始めました。いまや取引先は外食チェーンのほかに生協、小売店など多岐にわたります。

年間を通じて出荷するため、青森や長野、静岡などに出荷センターや、連携する仲間の農場を持っています。同社に出荷する農家は全国に点在しています。