昭和村という風土で培われた姿勢
そんな二番手の産地が反転攻勢に出たきっかけが、民間発の契約栽培だと澤浦さんは指摘します。まず村内の卸売業者が都内の大手スーパーに卸売市場を介さずレタスを納めるようになり、ほかのスーパーや作物へと拡大していきました。
昭和村には高速道路・関越自動車道のインターチェンジがあり、東京の練馬インターチェンジまで80分ほどで野菜を輸送できます。そんな地の利を生かし、鮮度の高い野菜を都内に供給する生産基地となりました。
量では1位の産地にかなわない。けれども、小売や中食・外食といった実需者の要望に合うものを直接届ける方法で、産地としての価値を高め、農業産出額を伸ばしてきたのです。
あくまで市場の需要に向き合う澤浦さんの姿勢は、昭和村という風土の中で培われたものでもあるようです。
※本稿は、『農業ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
『農業ビジネス』(著:山口亮子/クロスメディア・パブリッシング)
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