もっと軽やかに人と関われるようになりたい

ママ友とのお茶会、好きな作家さんのサイン会、仕事関係の飲み会などでも、いつだって部屋の隅でじっとしてしまう。家であんなに話しかけるシュミレーションをしてきたのに!

今日こそ楽しい会話をして、仲良くなりたい。それができなくても、せめて明るくニコニコして、暗くて感じの悪い人とは思われないように頑張ろう。そう決意しても、途中で心が折れ「早く終われ。もう帰りたい」と思いながら過ごすことになってしまう。

勇気を出して話しかけても上手くいくことなんて皆無。帰り道に今日の会話を反覆し「あの時ああ言えばよかった、あんな表情をするんじゃなかった、もっとこうしていれば……」と反省会をしてぐったりと疲れる。

かといってユミや夫のようにあちこちで知らない人と仲良くなったり、毎日どこかへ遊びに出かけたりしたいのか? と問われるとそうではない。
家で本を読んでいる方が心底幸せなのだ。一つのことをじっくり考えることも好きだし、自分の価値観は大事にしたい。

一人の時間を大切にしたいし思慮深さも手放したくはないけれど、もっと物事をポジティブに捉えられるように、もっと軽やかに人と関われるようになりたいのだ。

これもやはり、ないものねだりということなのだろうか。

大好きな俳優、高橋一生さんが昨年結婚した。周りにも「一生さんが結婚したら、きっと一カ月くらい寝込むかも」と話していたが、彼は結婚報告コメントでお相手のことをこう言っている。

「彼女は(略)明るく生きることを諦めません。彼女の純粋な陽の力に何度も救われた」

まじか……。「純粋な陽の力」には、お手上げだ。明るく前向きな人柄に救われたとあらば、そりゃもうどうしようもない。私では到底支えられない……と悟り、全く寝込むことなく済んだ。(そうでなくてもハナからどうしようもない)

くうー、羨ましいっ!
陽キャの人生とは、一体どれほど楽しいのだろうか? しばらくの間だけでいいから、体験してみたいものだ。

ああ。ユミはまだ私のLINEを読んでいない。
私はこの記事を書く1時間の間に何度もLINEをチェックしているっていうのに。情けないったらありゃしない。

キャンプの集合写真
たくさんの家族でキャンプした際、輪に入れず1人でずっと読書していた私(ポーズだけなので、まったく頭に入ってこない)
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