陽キャな友人、ユミ(仮名)との写真(写真提供:筆者 以下すべて)
noteが主催する「創作大賞2023」で幻冬舎賞を受賞した斉藤ナミさん。SNSを中心にコミカルな文体で人気を集めています。「愛されたい」が私のすべて。自己愛まみれの奮闘記、『褒めてくれてもいいんですよ?』を上梓した斉藤さんによる連載「嫉妬についてのエトセトラ」。第12回は「暗くて後ろ向きで卑怯で姑息な私は、真の陽キャに嫉妬する!?」です

前回「父のギャンブルで極貧に。修学旅行も行けず、母は宗教へ…。貧乏を脱した今でも、お金を使うたび、罪悪感が襲ってくる」はこちら

陽キャな友人、ユミ

「お誕生日おめでとう!」
陽キャな友人、ユミ(仮名)へ3日前に送ったLINEがまだ既読になっていない。

彼女はいつもそうだから「嫌われた? ブロックされてる?」などとは思わない。だが、LINEを3日間も見ないなんて信じられない。

私は誰かからLINEが来ると早く読みたくてちっとも我慢できない。しかし「すぐ既読になるなコイツ」と思われるのは恥ずかしいので、既読をつけずに通知で内容を読み、あえて2、3時間おいてから「たった今読みましたよ」という感じで返信する。小者の極みだ。

そんなに人からの連絡に飢えていませんよ、もしくは、仕事で忙しいですよ、という自己演出をしている。自意識は宇宙ほどデカい。

彼女いわく「面倒臭くてあんまり見ないんだよね。いつも未読300件とかになってる」らしい。大者すぎる。
SNSもやっていない。「昔アカウントは作ったけど飽きちゃった」とのことだ。きっと承認欲求などとは無縁なのだろう。

彼女は、20代の頃にバイト先で知り合った私にとって数少ない友人の一人だ。明るくて気さくで美人。楽しいことが大好きで細かいことは気にしない。若い頃はよくパーっと遊び、タクシー代もないほどお金を使い果たし、何駅分も歩きながら「楽しかったねー」とケラケラ笑っていた。

誰とでもすぐ仲良くなるし、誰かに嫌味なことを言われても気にしない。
「一瞬ムッとするけどすぐ忘れる。イライラしてる時間がもったいないもん。大抵の悩みは寝れば忘れる」
だそうだ。

そんな人、モテるに決まってる。男性も女性もそうでない人からも、全人類に好かれている。学生の頃は女子バスケ部の部長や生徒会長をつとめていたらしく、バイトでもリーダー的な存在だった。私はずっと彼女を羨ましく思っている。

自著『褒めてくれてもいいんですよ?』にも収録されている、催眠術で陽キャにしてもらおうと試みたときの写真