ピン芸人には味わえない
私は20歳でデビューしてずっとテレビの世界にいました。ピン芸人で、なんでも一人で考えて、一人で準備して、一人で演じて、ギャラは誰とも分けない(笑)!
そうしてここまできましたが、時折、映画に呼ばれたり、ドラマをやったりすると、全然空気が違ってくる。本当に勉強になります。台本をもらって、自分はこんな風に読んでいたけれど、他人はそういう風に読むんだとびっくりする。「こんにちは」と文字で書いてあっても、演じ方が人によってまったく違うところがとても面白いんですよね。お互いの反応を見ながら動いて、作りこんで、ひとつの作品を創り上げていく、その過程は、ピン芸人には味わえないものです。
それで、20周年にあたる40歳のときに、何か記念になることをしたいと思い、それまでやったことのなかった舞台をやらせてくださいと言いました。当時所属していた大手のプロダクションは日銭が大好きだったので(笑)、何日も稽古して一円も儲からない時間をいっぱい過ごして何になるんだと許してもらえなくて。でも、20周年の私へのプレゼントだと思って日にちをくださいと頼み込みました。
それで実現したのが難波利幸さんと出逢った三越劇場だったんです。うれしかったですよ~。お買い物といえば三越の、三越劇場でしたからね(笑)。その後地方公演も経験して、だんだん「こういうチームワークっていいなあ」と思うようになったんです。テレビカメラの前で一人で演じるのとは全然違いますね。