「フランス共和暦の少女 葡萄月」(1995年)/(C)真琴アート

染色を学んだ父の絵は、色彩の繊細さにも大きな特徴があります。例えば、少女のピンクに染まる頬は肌の上に塗るメイクではなく、肌の内側からぽーっと恥じらいや嬉しさが浮き出した自然の色なんです。先に色を塗って、最後に肌色をさっとかけて仕上げることにこだわっていました。

父の少女画は、雑誌の表紙や口絵、また本の挿絵にもなりました。海外のファッション誌などを参考にした少女たちの装いや、建物やインテリアなど背景の美しさも読者の心をつかんだのでしょう。

雑誌の付録に始まり、ノート、下敷き、色鉛筆、ぬりえといった文房具、ハンカチ、ティッシュなどの小物にも幅広く採用されました。

作品には必ず《MACOTO》とサインが入っているのですが、展覧会に来てくださった方のなかには、「私の筆箱にもこのサインがあった」と感激してくださる方もいらっしゃいました。

「ショウワノート・パリジェンヌ A4スケッチ」(1971年)/(C)真琴アート