「青空の記念写真」(2010年)/(C)真琴アート

遠い未来へ父の絵を残すには

繊細な画風から気難しくて内向的な印象を持たれるかもしれませんが、実際の父はまったくの逆(笑)。大阪弁でよくしゃべる、ダジャレが大好きな、大らかで面白い人です。

自宅で仕事をしていたため地域の活動に誘われることも多く、私と兄が通った幼稚園から中学校までPTAにも参加していました。

役員として小学校の入学式で挨拶したとき、壇上でリンゴを取り出して「これは何でしょう?」と話を始めて子どもたちの興味を引き、最後にはそのリンゴをぱかっと割ったら大喝采。しばらくは近所の子どもたちから「リンゴのおじさんだ」と声をかけられていました。

そんな人ですから、アトリエで私や兄が遊んでいてもまったく平気。いったん描き始めると集中力がすごく、子どもがそばをうろうろしても気にならなかったんだと思います。兄はよくアトリエのベッドに寝転んで、画集や写真集を眺めていましたね。

仕事が終われば、リクエストに応えていろんな絵を描いてくれる。魚の絵に磁石をつけた釣りのオモチャや、絵つきのサイコロを作ってもらいました。寝る前には即興でお話をしてくれたり。小人やお姫様の出てくるオリジナルストーリーにわくわくしたものです。

「月夜の夢」(2010年)/(C)真琴アート