「おいしい」と言いながら食べる
精神科医の大先輩である斎藤茂太さんが、面白いことを話しています。
「1杯目に『おいしい』と言ってお酒をほめ、『これから楽しく飲むぞ』と自己暗示をかけると、どんなお酒でもおいしくなる」
この言葉の「お酒」を「ごはん」に置き換えてみたらどうでしょうか。一見、子どもだましのようですが、じつはこれが意外と脳に効果があります。
「おいしい」と言いながら料理を食べていると自己暗示にかかり、口に入れたものが本当においしく感じるようになります。
すると、脳が活性化して快感物質が分泌されます。快感物質が分泌されれば、それがまた脳の働きを活発にするという連鎖反応が起こるのです。
保坂隆さんの連載「人生を楽しむ ほどほど老後術」一覧
出典=『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』(著:保坂隆/中央公論新社)
保坂隆
保坂サイコオンコロジー・クリニック院長
1952年山梨県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科入局。1990年より2年間、米国カリフォルニア大学へ留学。東海大学医学部教授(精神医学)、聖路加国際病院リエゾンセンター長・精神腫瘍科部長、聖路加国際大学臨床教授を経て、現職。また実際に仏門に入るなど仏教に造詣が深い。
著書に『精神科医が教える お金をかけない「老後の楽しみ方」』(PHP研究所)、『精神科医が教える 繊細な人の仕事・人間関係がうまくいく方法』(三笠書房)、『精神科医が教える すりへらない心のつくり方』(以上、大和書房)、『頭がいい人、悪い人の老後習慣』(朝日新聞出版)、『精神科医がたどりついた「孤独力」からのすすめ』(さくら舎)などがある。