当時の若者たちに重くのしかかっていた言葉
彼らに共通していたのは、行動を起こす前に「リスク」を想定し、それを回避しようと考えていたこと。なぜそこまで慎重なのかとさらに深堀りしていくと、「自己責任」という言葉が、当時の若者たちに重くのしかかっている様子が見えてきました。
そして100人中64人が、次のニュアンスの言葉を発したのです。
「これからは国も会社も、自分を守ってくれない」
だからこそ、行動より前にリスクを想定し、なるべくそこに近づかないように「リスク回避」する。また「働く」を優先せず、いざというとき頼れる家族やお金、プライベートを重視する。のちに私が、「攻めより守り」の草食系動物の印象から「草食系世代」と呼んだのが彼らでした。
ところがそれから8年後の14年。私が拙著『恋愛しない若者たち』(ディスカヴァー携書/15年刊)の執筆に向けて、草食系より1つ下の「ゆとり世代」(弊社定義で88〜94年生まれ/現31〜37歳)にインタビューを始めると、当時20代前半の彼らからたびたび出てきた言葉は「コスパ(コストパフォーマンス)」でした。