20年後、30年後のイミ

そして、Z世代です。彼らは数年後の価値どころか、20年後、30年後のイミを考える志向が強いと言えるでしょう。消費や結婚、そして仕事全般についても、インタビュー時に「持続可能性」「サステナビリティ」「永続的か」といったキーワードが何度も登場しました。

背後には03年の環境教育推進法の施行以降、教育現場で本格的にスタートした「環境(エコ、サステナビリティ)」教育や、16年に日本政府が実施指針を決定した「SDGs(持続可能な開発目標)」、そして02年に年間29万件に迫って以降、およそ3組に1組と高水準が続く「(親世代の)離婚」の影響もあるだろうと考えます。

Z世代にとっての「働く」「暮らす」は、“いま”あるいは“中期的(数年後)”に幸せかどうかだけでなく、“長期的(20年後、30年後)”にも無事に健康で働き続けられるか、暮らし続けられるか、という持続性の視点も重要です。逆に言えば、それだけ将来への漠然とした不安が強いことは、ほぼ間違いないでしょう。

※本稿は、『Z世代の頭の中』(日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。

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Z世代の頭の中』(著:牛窪恵/日本経済新聞出版)

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