「脱自己責任」(草食系)から「コスパ」(ゆとり)へ
結論から言うと、彼らは草食系世代より少し進化していたのです。
それは“現時点”でのリスクを避けるのではなく、“中期的”に見て「ペイする(採算が取れる、費用対効果に見合う)」かどうかを考えるという、新たな視点。
たとえば、現時点では商品Aは高額だが、安い詰め替え用があるので、この先4〜5回使ったらペイする。あるいはブランドBは値崩れしないので、ブランドCより多少高いが、Bを買っておいたほうが、のちのち売却するときに元が取れる、といった具合です。
仕事についても、ゆとり世代は総じて、似た感覚を持ち合わせていました。
単にリスク回避するのではなく、中期的に見て「イミ(意味)」がある業務かどうかを考える。たとえば、このプロジェクトは失敗するかもしれないが、いまトライしてみれば市場や業界に理解が深まるので、その後会社の知見が広がる。あるいは、いま自分が困難な業務に挑戦することで、その後のスキル向上に繋がる可能性がある、などの思考です。
ゆとり世代は「デジタルネイティブ」でもあります。子どものころから「キッズケータイ(98年発売の『ドラえホン』/NTT中央パーソナル通信網)」やインターネット(「ウィンドウズ95、97」/マイクロソフトなど)に囲まれて育ち、青春時代にはネット上で中古品を売買するフリマアプリやオークションサイト(メルカリやヤフオクなど)も存在。
商品価格も新品の決められた価格だけでなく、消費者同士で売買する際の二次流通価格が発生し、おそらく彼らは“中期的”に物事の損得を考えるクセがついていました。
ゆえに、ゆとり世代が新入社員のころ、私は企業各社の部課長クラスに「多少ハードルが高い業務でも、いまそれに挑戦することに『イミ』がある、中期的に見れば『コスパ』がいい、と感じさせてください」とお伝えしていたのです。