私が卒業した宝塚歌劇団とは
2025年に創立111年を迎える宝塚歌劇団は花、月、雪、星、宙組という5組からなり、各組には約80人の生徒が在籍している。格好良い男役と可憐な娘役が歌い踊る煌びやかな舞台は人気を集め、多くのファンによって支えられている。
宝塚歌劇団に入団するためには、宝塚音楽学校の入学試験に合格しなくてはならない。応募資格があるのは15歳から18歳(中学3年生から高校3年生)までの女性で、合格発表の様子は毎年ニュース番組で取り上げられるほど、世間でも話題となる。
試験を突破して入学できれば、芸事だけではなく、舞台に立つためのマナーや礼儀作法を徹底的に身につける毎日が始まる。この宝塚音楽学校で2年間の学びを終えると、いよいよ宝塚歌劇団の生徒となる。
宝塚歌劇というと、代表作である『ベルサイユのばら』や華やかなレビューを思い浮かべる人が多いかもしれないが、上演演目はそれだけではない。現代を舞台にした作品、日本物、海外のミュージカル作品など、実に様々な作品が上演される。そのため生徒たちは、クラシックバレエから日本舞踊まで、幅広いジャンルの芸事を身に付けている。演目によってはタップダンスやフラメンコ、殺陣などが取り入れられる。出演者は、短いお稽古期間でも、必要な芸事の本格的な技術を練習して舞台に臨む。
各組の上級生は、舞台に関する多くのことについて、下級生を指導して組をまとめる役目を担う。スターと脇役の区別は無く、より良い作品作りのために厳しい言葉をかけ合うこともあった。その繋がりは強く、劇団を卒業した後も途切れない。たとえ同じ時期に舞台に立っていなくても「宝塚の先輩、後輩」というと、なんとも言えない親しみが湧くことがある。まさに「同じ釜の飯を食う」という言葉がぴったりな仲間たちなのだ。