この国で働く人たちを取り巻くあまりにも脆弱で苛烈な環境。コロナはそれを明らかにしつつある。派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は非正規労働者の現状について、

「数ヵ月や1年など期限のある『有期労働契約』で働く人が圧倒的に増えています。働かされ方に不満があろうと、違法な状態があろうと、苦情を言えば、次の更新はない。そんな状態にいつもさらされている」

と語る。

「日本の場合、『合理的な理由がない限り、有期労働契約を結んではいけない』といった入口規制はまったくありません。法律上は出口規制のみ。『5年たったら、無期契約に転換できる』というものです。まだまだ不十分ですが、これで無期に転換できた人たちが出てきているのも事実。一方で、5年たつ前に切られている人も山ほどいます」(関根さん)

非正規の存在がクローズアップされたのは08年のことだ。リーマンショックの影響で多くの派遣労働者が契約を切られた。「派遣切り」は流行語、社会現象となった。

「派遣労働者は派遣切りされるためにある。そういう制度なんです。企業の側からいえば、いざというとき、何の問題もなく真っ先に切り捨てが可能な労働力。今起きていることもまさにそうです」(関根さん)