コロナ対策で会社が休業となっても、正社員ならば基本的に雇用が維持され、休業手当が支給される。一方で、非正規労働者からの相談が派遣ユニオンに殺到している。当事者の声は切実に響く。
「『非正規は(正社員とは)別だ』と言われた」「『有給休暇を使って休んでくれ』と言われた」「コロナの影響で仕事がなくなった。請負契約なので補償がない。3月は少し仕事があるが、4月以降の目途が立たない」「職場(派遣先)に濃厚接触者が出た。本人(相談者)は微熱が続いているので医師からは休むように言われている。派遣先は『37.5度以上でなければ、出社しろ』と言っている」――。
つい1年ほど前まで「戦後最長の景気回復」とうそぶいていた国のありようとはおよそ信じがたい。
セーフティネット改善を市民の側から推進してきたつくろい東京ファンドの稲葉剛代表理事は、「雇用改善」の実態をこう語る。
「仕事はあるにはある。でも、非常に不安定で給与も低いという、ワーキングプアが増えています。貧困の質が派遣切りによるものから変わってきているのです。今の制度はリーマンショック当時に作られたもの。派遣切り型には対応できても、ワープア型には対応できません」
象徴的なのがネットカフェ難民の増加。これまで国レベルで統計調査はほとんど行われてこなかった。07年に厚労省が行った調査によれば、全国で5400人、東京都内で2000人が確認されている。