「しあわせ」を問いかける
50年間、独身主義だった男が、ほぼ相手の容姿にだけ惹かれて結婚。有頂天になっていたら、ケタ違いに重大な秘密を抱えているわ、一癖も二癖もある家族がいるわ。
そうでなくてもネルラは変わったところだらけ。恐ろしいまでに悪い寝相に毎晩驚かされたり、クロワッサンにかぶりつく姿にあ然とさせられたり。
原田の結婚が「しあわせ」なのかどうかを観る側に問い掛け続けている。
原田はネルラからも暗に尋ねられているのかも知れない。第6回でネルラはモーツアルトのオペラ「フィガロの結婚」のケルビーノのアリア「恋とはどんなものかしら」を東京・上野の路上で歌った。和訳した歌詞の一部はこうだ。
<僕はしあわせを探しています 自分の外に でも誰がそれを持っているのか分かりません それが何なのかも分からないのです>
この歌をうたうケルビーノは少年。女性ではない。恋愛にはウブな原田を暗喩しているのではないか。