ネルラには動機がある

一方でネルラには動機がある。事件の1カ月前、布勢は弟のレオの誘拐を装い、寛に嫌がらせを行った。布勢は画家の廃業を決意し、レストランを開業することにしたため、寛に資金の融資を求めたが、断られた。偽装誘拐はその腹いせだ。結局、レオの誘拐は布勢のウソだったが、ネルラは憤った。

もっとも、この嫌がらせを布勢が行ったのかどうかは分からない。布勢が寛に無心を行ったのは事実であり、寛の部屋に身代金1000万円を要求する電話が架かってきたが、ボイスチェンジャーで声が変えてあったからだ。布勢から誘拐を装った嫌がらせを行ったと聞いたのはネルラだけで、それを裏付けるものはない。

また、ネルラは原田に第6回でこう告げている。「私は凄い焼き餅焼きなんです」。当初、ネルラは布勢の女性問題で揉めたと説明していたが、その通りなのかも知れない。

ネルラが取り戻した断片的な記憶が事実であろうが、布勢が死んだときのことはおぼえていない。犯人の顔も。自分が殺した記憶が抜け落ちている可能性もある。

ネルラが記憶を取り戻したことをきっかけに布施の周辺を洗い直す黒川(中央)(『しあわせな結婚』/(c)テレビ朝日)

ネルラの風評の悪さも気になる。

ネルラ、布勢と芸大時代の友人だった小畑武尊(高木トモユキ)は黒川の聞き込みに対し、2人の婚約が意外だったと答えた。

「布勢はスターでネルラはモブ(群衆)でしたから。布勢を潰したのはアイツですよ」(小畑)

布勢が出入りしていた画廊の主人・三杉孝俊をよく知るバーのマスター・八神旬(ジャン・裕一)も同様のことを口にした。

「(三杉が)布勢は悪い女に引っ掛かった、人生狂わせたと言っていましたよ」(八神)

一方で三杉はなぜか画廊をたたみ、消えた。これも引っ掛かる。事件に関わっているのか。