蔦重と横浜流星

新之助にとっての蔦重は一言でいえば、親友ですね。新之助の年齢設定はないんですが、僕は蔦重と同世代と考えて演じていました。

新之助はずっと孤独だったはず。

武家を破門されて浪人になって、源内先生のもとに転がり込みますが、先生は目上の方ですし、本音を話せるわけではない。そんな中で蔦重と出会い、彼が心の支えのような存在になったというか。蔦重は本当にいいやつですし、新之助が果たせないようなことを、次々と叶えてきた憧れのようなものもあったと思います。

そして蔦重を演じる横浜流星さん。あんなにストイックな座長は見たことがありません。

(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)

僕もどちらかといえば真面目なほうなので、ブツブツとセリフをそらんじながら、どんな動きをしようか、とスタジオの端で試行錯誤していると、いつの間にか隣に横浜さんがきて、セリフ合わせに付き合ってくれたりして。

主演の彼は、ずっとそのスタンスで続けているわけです。それでいて芝居では、台本に書いていないようなことも組み込みながら、驚くような演技をする。

たとえば、33回でこときれた新之助を、蔦重が抱えて橋の上を運ぼうとするシーンも、台本にはないくだりでした。

僕の体重は65キロぐらいなんですが、こときれていた分、横浜さんに全体重をかけていたのが申し訳なくて。それでも引っ張ってくれた横浜さんのパワーをあらためて感じながら、心の内で、新之助をこんなに思ってくれる人がいたんだな、と素直に感動していました。