「多分死ぬよ!」

そしてセリフもすごい。

ふくを殺した相手を前にして、普通なら<つかみかかる>流れになりそうな場面で、新之助に「これは俺ではないか」と言わせる。この場面でそのセリフが出てくる感性には唸らされます。

脚本を進めていけば、どうしても記号的になる瞬間があるはずなのに、森下さんはそこを記号にするのではなく、人間らしく描き出す。

「なるほど、そういう解釈もあるのか」「そんなことを言うんだ」という意外性や胸が痛くなるようなセリフが、新之助以外でも次々と出てくるから、脚本だけ読んでいてもとても楽しい。次の脚本が届くのが待ち遠しい脚本家のおひとりですよね。

なお、最初に脚本を渡された時点で、新之助の生涯について大まかに聞いていました。「最初はへっぽこだけど、後半には革命戦士になってかっこよくなるから!それでいて多分死ぬよ!」って(笑)。

演じ終えた今、森下先生が新之助という人物について愛を込めて書いてくださったことをうれしく感じています。