101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが綴った、毎日の小さな喜びを大切に、前向きに悔いの残らない時間を過ごす生き方。エッセイ集『101歳。ひとり暮らしの心得』(中央公論新社) から幸せな暮らし方の秘訣を紹介します。
<生きていることが楽しくなる秘訣>
病気とも好奇心で付き合う
身体が丈夫で病気とはほとんど縁なくきましたが、さすがにここ数年、不調が出てきました。ふらふらすると思ったら、肺に水がたまり、貧血も起こしていたのです。心臓も、ちょっと問題があるようです。
そこで定期的に短期入院をして、肺の水を抜いて輸血もしています。
この歳になると、身体に不具合があるのは当たり前。心臓だって101年も動き続けてきたのですから、少々くたびれるのは当然です。だったら今まで未知だった「病気」という状態や、病院の人々の様子などを観察して、面白がってしまおう、そんな気持ちでいます。

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すると看護師さんの喋り方ひとつとっても、それぞれ違っていて、なかなか面白いのです。「へぇ、こんな話し方をするんだ。どこの出身だろう」などと想像してみたり、ちょっと訊ねてみたりしています。
一日中、寝間着でいると気持ちが後ろ向きになると気づいたのも、入院したおかげです。
入院中の自分を観察したおかげで、きちんとしなくてはいけないと、改めて自分を戒めることもできました。
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