何が長寿をもたらすか

クリスティン・ベンツ:博士は長年、長寿について研究しておられますね。長寿をもたらす主な要因はなんでしょう? 遺伝子が大きな役割を果たすことは知っていますが、自分でコントロールできる要素もあるのでしょうか?

ローラ・カーステンセン:長生きのために何かしたいとお考えなら、いいお知らせがあります。それは遺伝子よりも日々の行動や生活習慣のほうが寿命に大きな影響をおよぼすということです。

遺伝子と生活習慣が寿命に与える影響を研究している人によると、遺伝子の影響は30パーセントで、生活習慣が70パーセントということでした。つまり健康的な生活習慣さえ身につければ、遺伝子に多少の欠点があっても健康で長生きできるのです。

クリスティン:長く幸せな人生をもたらす要素として、読者が驚くような研究結果はありますか?

ローラ:多くの人が驚くのは、社会とのつながりと幸福度が密接に関係していることです。極端な貧困を除いて、人生の質はおそらく金銭よりも人間関係に左右されます。住んでいる場所や仕事、家族や友人との関係、なんらかのグループに所属しているかといったことが私たちの根幹を形づくっているのです。

人間は集団の一部となり、愛され、世話をされ、仲間をつくることを好むように進化してきました。ですから年を重ねてもそういったことが非常に大事で、これは生涯変わりません。

ところが高齢になるにつれ、意識的に行動しないと社会とのつながりを実感しにくくなります。社会構造と自分の生活に接点が少なくなるからです。