クリスティン:内輪のつきあいというのは何人くらいが理想なのでしょう?

ローラ:とても少ない場合もありますが、3、4人が最適でしょう。それよりも少ない人数で、その人たちなしでは生きられないと思うほど絆が強い場合は困ったことになります。人間には寿命がありますし、いつ何が起きても不思議はありません。そうなったときに衝撃を和らげるものが必要です。

クリスティン:そうなんですね。ところで結婚は、長く幸せな人生の要因になるでしょうか?そう単純なものでもないですか?

ローラ:既婚男性のほうが独身男性よりも長生きすることはかなり前からわかっていました。一方で既婚女性よりも独身女性のほうが寿命が長いという報告もあります。

これをもう少し追究すると、結婚は、男性にとっては長寿の要因になります。夫婦仲がよくても悪くてもそれは変わりません。しかし女性の場合、この人と結婚してよかった、この人と一緒にいられて幸せだと感じている女性にのみ長寿をもたらします。

つまり男性にとっては夫婦関係のよし悪しにかかわらず恩恵があり、女性にとっては関係性がよくないと恩恵がないのです。

クリスティン:どうしてそうなると思われますか?

ローラ:原因の1つとして、良好な夫婦関係を築けなかった場合に女性が自分を責めやすいことが挙げられます。男性は結婚生活と人生を切り離して《万事順調だ》と考えられる。でも女性は結婚生活がうまくいかないと自分を落伍者のように感じてしまうわけです。

ある研究では2つの設問が用意されていました。《ご自分の人生に満足していますか》と《結婚生活に満足していますか》です。

男性側では《人生には大満足だが、結婚生活はそれほどでもない》という回答が見られましたが、女性のなかには2つめの設問を聞くと怪訝そうな表情で《だから今、人生は最低だといったでしょう? あなた、ちゃんと聞いてたの?》と返す人さえいたそうです。女性は人生と結婚を切り離して考えられないのです。

How to Retire お金を使いきる、リタイア生活のすすめ』(クリスティン・ベンツ:著・岡本由香子:訳/KADOKAWA)