親ガチャ一番の「ハズレ」は

私の家は貧乏だった。父のギャンブル依存症に加え、母がエホバの証人というカルト宗教に入信。果ては父が行方不明になり高校を中退せざるを得なかった。いわゆる、親ガチャ大ハズレの家庭だろう。

ただ個人的には、親ガチャでいうところの一番の「ハズレ」は、精神的に不安定な親のもとで育つことなんじゃないかと思っている。

厚生労働省は令和6年度の厚生労働白書で「精神的に不安や緊張を抱える環境は、子どもの人格形成に大きな悪影響を及ぼすことがある」と述べているが、まさにその通りだと思う。

「ありのままで大切な存在」と思えず自己肯定感が低い。「役に立たなければ存在している価値がない」と感じ、自分を必要としてくれる人にどっぷりと依存してしまう傾向は、子どもの頃に形成されたものだとひしひしと感じている。

貧乏ももちろんハズレだが、それ以上に、母が「神への祈りがたりない? どうしたら救われる? 何もかもお母さんが全部悪いね!」とヒステリックに怒鳴り散らしたり、「愛のムチ」と称して日々私たちをムチで打ったりすることが私の自己肯定感を殺していった。彼女の機嫌を損ねないよう顔色をうかがいながら過ごす毎日は、常に不安と緊張に満ちていた。

祖父に支配され続け、ろくでもない男(父)に騙された母もまた被害者なのかもしれない。
だが、私は違う。母を反面教師にして、強くて、優しい人になりたい。

しかし「あの人みたいに弱くてはダメだ、呪いを繰り返してはいけない」と必死に心で唱えているはずなのに、気づくと私も大切な人を相手に言葉や態度でコントロールしようとしてしまうのだ。学んだ覚えなんて全くないのに、しっかりと身に付いてしまっている。
生まれつきヒスの才能がありすぎるのだろうか。全然嬉しくない。

自分の中に母を見つけるたびに絶望し、その部分をえぐり出して踏み潰して捨てたい気持ちでいっぱいになる。