「親ガチャ当たりの家庭」で育った夫
先日、お盆休みに三重県の夫の実家に帰省した。夫の実家に行くと「ああ、ここは親ガチャ当たりの家庭だな」としみじみ感じる。
夫の両親、3人兄弟の弟たち、犬のナナ。全員がのんびりしていて優しい。弟たちはもう2人とも40歳前後なのに、夫が帰省する時には必ずタイミングを合わせて帰省する。「だって会いたいじゃん」とのことだ。なに、その真っ直ぐな兄弟愛! 目がくらみそうだ。
愛知から我々がやってくるのを家の前の角まで家族みんなで出迎え、帰りはみんなでお見送りをしてくれる。灼熱の真夏でも、大雪の極寒でも、必ずだ。私は今「北の国から」でも観てるのか? と思う。
言葉少なめで強面なお義父さんからは、夫に毎週「仕事はどうだ? 体調はどうだ? 家族みんなは元気にしているか?」と連絡が来るし、お義母さんは私が病気をして寝込むと、車で県をまたいでやってきて、代わりに子どもたちの世話をしてくれる。
私は15年経ってもなかなか馴染めていない。それでも全員が大きな愛で決して私のことを諦めず、家族のように接してくれるのだ。
古いけれど大きい家には、家族の成長の証や、先祖の想い出がたくさん残っている。食卓を囲んでいつまでも楽しく話していて、誰一人として自室にさがらない。初めて見た時は驚いた。
内容はいつも同じ。
「昔、自転車でじいさんの畑に頭から突っ込んだときなぁ」
「おまえたちが車の後部座席に鼻クソを……」
「裏のカズくん(夫の同級生)がなぁ」
延々と家族や近所の人たちの思い出について話している。それを、もうすっかり中年の3兄弟が全員笑って聞いているのだ。いっっっつも、同じ話なのに。