教師との認識に差

教師が把握していないいじめもすごく多いと考えています。文科省の委託事業として行われた子どもの発達科学研究所と浜松医科大学 子どものこころの発達研究センターによる調査(2024年3月)では、「不登校のきっかけ要因」について、教師と児童生徒側で回答に差があります。

教師側では、「学業の不振」「宿題ができていない等」が上位ですが、児童生徒側で最も多いのが「不安・抑うつの訴え」。次いで「居眠り・朝起きられない・夜眠れない」「体調不良の訴え」と続きます。さらに、「いじめ被害」は、教師側では4.2%ですが、児童生徒側では26.2%にもなり、認識に大きな差があることがわかります。

教師との認識の差が大きいのは、いじめだけではありません。「教職員とのトラブル、叱責等」を見ると、教師側だと2%ですが、児童生徒側だと16.7%になり、およそ8倍もの差があります。

石井しこうさんの写真
不登校ジャーナリストの石井しこうさん

不登校の理由が教師から見えないと、学校側の対応に子ども側が失望してしまいます。たとえば、教職員が理由で不登校だった場合、原因である教師が家庭訪問をすることもありえる。子ども本人としては恐怖でしかなく、不登校が長引いてしまう。原因がわからないと対策も取れないし、こじれてしまいます。まずは、不登校の要因について、実態を把握するために踏み込んで調査する必要があります。

いじめのほかに不登校が増えている要因として考えられるのが、集団生活が合わなくて苦しんでいるケースです。HSC(Highly Sensitive Child)と言われる感受性が豊かな子の場合、小学校での集団生活が合わず、親が不登校を認めてあげるケースが増えたと感じています。HSCの子どもは、教室でほかの子が怒られていても自分のことのように敏感に受け止めてしまったり、大きな声が苦手だったりします。環境の問題もあって学校に行けなくなってしまうんです。