不登校の原因
不登校の原因は、大きく4つあるとされています。「いじめ」や「HSCなどの発達や特性によるもの」、「教師と合わないなど学校側の要因」や「勉強」です。「勉強」は、勉強が苦手な子のことだと思われがちですが、優等生でも「もうすぐテストがある」「結果を出さなくちゃ」とプレッシャーを感じてしまうこともあります。
ただ、不登校の原因が明確な人よりも、「なんで自分は行けないんだろう」と自分では不登校の理由を捉えられない人の方が多いんですね。当事者の間でよく言われるのが、「10年経つと、かなり明確に自分の不登校の理由が捉えられるようになる」ということです。
発達障害などの自分の性質を自覚したり、何に恐怖を感じていたか理解したり、と自分のことや周囲の環境を立体的に捉えることは、結構時間がかかるものなんです。親や周囲が「これが理由だろう」と勝手に決めて、その原因さえ除去すれば学校に行けるようになると考えると間違った対応になってしまいます。
自律神経の乱れなどによっておこる起立性調節障害や抑うつでも、本人は自覚していなくても何等かの原因があって不登校になっていることがほとんどです。有識者の方に取材しても「原因のない不登校はない」ということを指摘します。
「理由もないけれど行かない」「学校に行かずゲームだけしていたい」と自分で言う子はいますが、そういった子にも、学校と決定的に合わないような要因や苦しい背景がある。「ちょっと休んでズルズル行かなくなった」「怠けている」という指摘は昔からありますが、実際に取材をしてみると、「理由もなく、なんとなく不登校」はほとんどいないですね。
以前取材した例ですが、風邪をひいて治るのが遅くて家で過ごしているうちに、不登校になった高校生がいました。親御さんにお話を聞いたら、かなりひどいいじめがあったようで、体調不良を何度も繰り返していたそうです。でも、本人は当時の記憶がかなり曖昧だったし、「いじめられた」と人に言えなかったので、自分では「風邪をひいてなんとなく行かなかっただけ」という整理をしていました。
ほかにも、小学校2年生で、「僕はゲームしていたいから、行きたくない」と言っていた例は、よく話を聞いたらHSCの特性がありました。本人がいじめられたわけではないのですが、いじめの現場を目撃してしまって、学校生活や人間関係に恐怖感を感じていた。でも、自分のつらさが全く言語化できなくて、当時自分の中にあるいちばん確かなこと、「ゲームが楽しいから学校を休みたい」と親に伝えたんです。
親はすごく怒って「そんなことは許されない」と学校に通わせたら、その子の持病の喘息が深刻化して入院することになりました。それをきっかけに親が、子どもが学校生活に苦しんでいたことに気づいたんです。自分に起こったネガティブな情報を語るのは本当に難しいと感じています。