そうだ、行ける。行けるじゃん!!

その最後の週末のこと。毎週のように日本から入れ替わり立ち替わり来てくれていた友人たちのアテンドも一段落。語学学校の毎日の授業も乗り切った。この滞在の一番の目的であった、次の本の撮影も無事終了。全てのノルマを終え、台湾在住のカメラマンさんとお疲れ様お茶会をしながら喋っていた金曜日の夕方。

「五週間、長いと思っていたけど、あっという間だったなぁ……行きたかったところも、食べたかったものもまだまだ残ってます」

宜蘭の台灣碗盤博物舘、台湾大学の植物標本館、台北の阿マ(女へんに麼)家-和平與女性人權館はタイミングが合わなかったな、台南の玉井芒果市場で今が旬のマンゴーを思いきり堪能したかった。

それにそれに、大好きな台湾の作家、楊双子さんの新しい本は台中が舞台なんですよ! ちょうどゲラも持っているし、読みながら行ったら楽しそうだよなぁ。

「明日、空いてるんだよね? 日帰りで行ってきたら?」

「……行けます、ね」

この五週間で唯一空いた土曜日、日曜日には帰国。

確かに、行ける。そうだ、行ける。行けるじゃん!!

カフェから出て、家に帰るまでの間に、台中行きの電車の切符をオンラインで買い、次の朝早起きして目指すは台中。
我ながら行動が早かった。