『四維街一号に暮らす五人』のお話
ではここで、『四維街一号に暮らす五人』のお話を少しご紹介。
台中、四維街一号にある古い日式建築の女性専用シェアハウス。そこに住んでいるのは、引っ込み思案でなかなかみんなに心を開けない乃云(ナイユン)、実家が貧しいことに引け目を感じてつい強がってしまう家家(ジアジア)、美人でモテモテお嬢様だけど、実は秘めたものもある小鳳(シァオフォン)、売れっ子BL作家で浮世離れした知衣(ジーイー)。4人の物語が一章ずつ描かれ、最後にこの建物の秘密、そして飄々とした大家さん修儀(シューイー)がシェアハウスを始めた経緯が明かされます。「四維街一号に暮らす五人」を繋ぐのは、日本語で書かれた古い料理書『再版 臺灣料理之栞』。
美味しい食べ物に、それぞれが抱えた秘密や悩みがじんわりほぐれていく、心が充たされるお話なんです。
読みながら、そうそうこの料理美味しいよね、ここ歩いたことあるぞ、ここも行ったなぁ、と共感することしきり。
もしかしたら、乃云たちは本当にいるんじゃないかしら。台中の街ですれ違っているかもしれない。四維街に行ったら会えるのでは? 小説の中で描かれる風景や食べ物を、実際に見られるかもしれない。そのワクワクに背中を押され、人生初の聖地巡礼に飛び出しました。