プルメリア
プルメリアは、台湾では鶏蛋花とも呼ばれる(写真提供:池澤春菜さん 以下すべて)

声優・作家の池澤春菜さんが、70回以上も通った台湾で、初の聖地巡礼!
台湾のプロともいえる池澤さんが訪れたのは、2024年に台湾人初の全米図書賞作家となった楊双子さんによる最新小説『四維街一号に暮らす五人』の舞台。
美味しいグルメスポットを巡りながら、目指すは100年近く前の古き日式建築!
……でしたが、池澤さんの旅は予想外なエピソードがてんこ盛り。
さあ、読めばお腹がぐんぐん空いてくる、魅惑の聖地巡礼のはじまりです!

『四維街一号に暮らす五人』聖地巡礼の旅

小説や映画、アニメの舞台となった場所を実際に訪れてみること――聖地巡礼。

いわゆるコンテンツツーリズムであるこの行為自体は、1980年代からあったそう。それが「聖地巡礼」という言葉を得て一般的になり、作品も積極的に実在の場所とタイアップし、町おこしやイベントにも使われるようになったのはここ20年くらいのことでしょうか。

旅の目的として、自分の好きな作品に出てきた場所を訪れる。登場人物の足跡を辿ったり、同じ画角で写真を撮ったり、ゆかりの食べ物を楽しんだり。素敵な旅の仕方ではあるけれど、わたしには縁がないな、と思っていました。なぜならわたしが好きなジャンルは、SFやファンタジーだから。アーシュラ・K・ル=グウィンのハイニッシュ・ユニバースやC・S・ルイスのナルニア国に行ってみたくはあるけれど、飛行機ではちょっと難しそう。あ、ホームズのベーカー街221Bは行きました。

そんなわたしが、楊双子さんの『四維街一号に暮らす五人』の舞台となった、台中の西区四維街日式招待所を訪ねることになったのは、そもそも……

そもそも。

そもそも?

そもそも、どこからが、そもそもなのか……あんまり遡ってそもそもすると、本題が書けなくなるので、できるだけ簡略に行きます。

台湾に行くこと70回越え。

台湾のガイドブック四冊刊行。

台湾一周もしました。

そんなわたしの夢は、台湾に住むこと! 念願叶って今年の5月と6月、計5週間、台湾に滞在することができました。