現代社会では、子どもたちの発達について、「発達障害(神経発達症)」「定型発達」「グレーゾーン」など、さまざまな分類がされています。そのようななか、「診断名にとらわれることなく『すべての人には、それぞれの発達のユニークさがある』という視点を広げていきたい」と話すのは、5歳以上から大人までを対象にした塩釜口こころクリニック院長・精神科医さわ先生です。そこで今回は、精神科医さわ先生の著書『児童精神科医が子どもに関わるすべての人に伝えたい「発達ユニークな子」が思っていること』から一部を抜粋して、「発達ユニーク」な子どもたちが感じていることをご紹介します。
どうして、このつらさがわかってもらえないんだろう
子どもの困りごと
感覚のちがいや苦しさを理解してもらえない
感覚のちがいや苦しさを理解してもらえない
「つらい」ということを表現できない「つらさ」
感覚過敏を抱える子どもにとって、それ自体がつらいだけでなく、もうひとつの大きな問題は自分のつらさが、まわりの人に理解されないことです。
本人にとっては耐え難いほどの苦しみでも、親やきょうだい、まわりの人たちは平気な顔をしていて、「なにがそんなに気に入らないの?」などと言われてしまう。たとえば、音に敏感な子が教室の雑音に耐えられないのに、“気にしすぎ”と言われてしまうなどです。それはとても苦しいことですよね。
とくに、まだ小さくて言葉が発達していない時期であれば、自分がなににどう苦しんでいるかをうまく伝えることができません。
そのため、まわりの人から見れば、理由がわからないまま泣き出してしまうように見えます。もしかすると、「癇癪がひどい子」などと思われてしまうかもしれません。
困惑した大人が「どうしたの?」と聞いても子どもが答えられないため、最終的には「静かにしなさい!」と怒られて、さらに子どもが激しく泣き叫ぶこともあります。
こうした経験を繰り返すうちに、「わがままな子」とか「我慢のできない子」というレッテルを貼られて、子どもがさらに苦しむケースも少なくありません。