無理をさせないことが最優先
とくに癇癪などの特性のある子は、やはり基本的には「その子の特性を理解して、無理をさせないこと」が最優先です。
それをまわりが無理に押しつけたり、「ふつう」に近づけようとあせったりすると、かえって子どもを苦しめてしまいます。
小さな努力やスモールステップで少しずつできることを増やしていくことと同時に、まわりの大人は、子どもの得意なところと不得意なところを受け入れて、できるかぎりその子に合った環境づくりをすることが大切です。
感覚過敏による苦しみは、そうではない人にはなかなかわかりません。
だからこそ、苦しみを抱えているということを理解してくれる人がそばにいるだけで、子どもの気持ちは少しでもやわらぐのではないかと思うのです。
感覚過敏を抱える子どもには、ほかの人にはわからない苦しみがあります。まずはそれを理解しようとする姿勢から
※本稿は、『児童精神科医が子どもに関わるすべての人に伝えたい「発達ユニークな子」が思っていること』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
『児童精神科医が子どもに関わるすべての人に伝えたい「発達ユニークな子」が思っていること』(著:精神科医さわ/日本実業出版社)
すべての人が「その人にしかない発達の過程」を持っており、発達とはだれにとってもユニークなものなのです。
実際、診断がつかない子どもたちのなかにも、日々の生活や学校のなかで「困りごと」を感じている子は少なくありません。
「病名がないから大丈夫」ではなく、「困っているなら支援が必要」という考え方が、もっと社会のなかに広がっていってほしい──そう思って、この本を書きました。