ハンドメイドの特徴

一方ハンドメイドは、手作業による生産であるため、製品に独自性やオリジナリティーを持たせることができます。この特性は、個性的なデザインやカスタマイズを求める消費者にとって大きな魅力となります。また、必要な分だけを生産することが可能であるため、廃棄物を削減し、環境負荷を軽減することができます。さらに、熟練した職人が手作業で製品を仕上げることで、高品質な製品を提供することが可能です。

例えば前述した裁断工程では、高級品の場合はハサミを使った手断ちになることも多く、縫製工程では、分業でなく1人の職人が1枚をほぼ完成品まで仕上げる「1枚流し」という製法が取られていることもあります。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

さらに手刺繍や手染め、ハンドステッチなどディテールに手の掛かるクラフトマンシップに溢れる技を盛り込むブランドが増えています。フランスでは「ア・ラ・マン(手による)」と呼び、アルチザン(職人)の価値を守る言葉としてよく使われますし、メティエ・ダール(芸術職)という制度で支援を行っており、ファッション分野でもラグジュアリーブランドが積極的に取り入れている点は、日本も学ぶべき姿勢だと感じます。

一方でハンドメイドは、生産効率が低いため、一度に大量の製品を供給することは困難であり、納期が長くなる傾向があります。また手作業に依存するため、製品の価格が高くなり、加えて職人の技術や経験によって品質にばらつきが生じる可能性もあります。需要が急増した場合でも、迅速に生産量を増やすことが難しいため、大規模な需要には対応しづらい点もデメリットと言えるでしょう。