前室にいた理由
撮影期間中、僕は一度も楽屋に帰りませんでした。前室にいることが使命のように感じていたのです。『あんぱん』は撮影期間も1年と長い。最終的に人間関係が大切になっていくと考えました。人と人との会話の中で、日々を生み出していく作業になる。
役者もスタッフの1人という考えです。役者は台本や演出を与えられる立場ですが、僕は自分の頭で考えて納得したいタイプ。だから前室にいて、とにかくいろんな人と作品の話じゃなくてもいいから何でもない会話をしようと決めていました。
気づけば今田さんも前室にいてくれるようになって。今田さんと前室で一緒にいるようになったことがドラマとリンクしたように感じています。
最終的に原さんや河合さん、(高橋)文哉くんと、同世代のキャストはみんな前室にいてくれるようになりました。今田さんと2人で守り神のように前室にずっといて、いろんな人と会話をしながら現場を作っていったような気がします。