相模湾で採取されたマイクロプラスチック(写真提供:JAMSTEC)

最大規模のごみパッチの面積は日本列島と同じぐらい

また、海の中には潮流の関係でごみが溜まりやすい場所が存在する。「ごみパッチ」や「ごみベルト」と呼ばれるこの集積ポイントは、これまで世界に5ヵ所あるとされてきた。

「しかし実はもっとたくさんのごみパッチが存在するのではないかとも言われており、今回調査したのもそのうちの一つでした。ただ集積ポイントといっても、ぎっしり密集しているようなところは限定的です。僕たちが調査したときも、見ていると『あ、バケツが流れてきた。あ、ストローが流れてきた』という感じで」

だが最大規模のごみパッチの面積は、それひとつで日本列島と同じぐらいになるという。

海洋研究者など一部の専門家の間では以前から深刻視されていたプラスチックの海洋汚染だが、問題とされ始めたのは比較的最近だ。

2017年、先進諸国のプラスチック廃棄物を引き受けてリサイクルしてきた中国が、環境保護を理由に受け入れの規制を始めた。プラスチック廃棄物の処理に関して、多くを中国に負ってきた欧米や日本は、これに大きな影響を受ける。

特にヨーロッパは土地が狭く、プラスチックごみの捨て場があまりない。EUの危機感は強く、2021年までにプラスチックの使い捨てを大幅になくす法案を採択。さらに、汚れたプラスチックごみの輸出入は原則禁止という国際条約も生まれた。

日本でも最近、レジ袋の有料化などを取り入れる店が増えてきた。しかし世界的に見ると、対策はかなり遅れている。

「もともとヨーロッパというのは予防原則の国々なので、環境問題などが深刻になり始めると先手を打って禁止策を出すことが多い。しかしアメリカや日本は証拠主義なので、はっきり影響が出るまではなかなか手を打とうとしない傾向があるのです」と、中嶋さんは説明する。