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多くの企業では、新入社員に向けて「どのように(How)」仕事をするのかが細かく書かれた業務マニュアルが用意されています。しかし、帝国ホテルの教育システムを構築した経験を持つ大野加奈さんは、「『How to』だけを教えても、素晴らしいサービスを提供できる人は育たない」と語ります。そこで今回は、大野さんの著書『サービスを言語化する』から抜粋し、人材育成のヒントをご紹介します。

「できる部下」を放置してはいけない理由

「できる部下ほど辞めていく」という現象に悩んでいる管理職は少なくありません。実は、多くの場合、この現象には明確な理由があります。

私自身も管理職時代に経験したことですが、優秀な部下ほど「任せる」という名目で実際には「放置」してしまいがちです。仕事ができない部下には手をかけるものの、できる部下には「あの人は大丈夫」と思い込んで、コミュニケーションの質も量も減ってしまうのです。

しかし、優秀な部下こそ、組織への所属意識や自分の価値への確信を求めています。

「任せられている」と「必要とされている」は似ているようで全く違います。単に業務を任されているだけでは、その人の価値観や成長への欲求は満たされません。