「仕事の意味づけ」の効果を実感した瞬間

「どうやったら帝国ホテルの商品らしくなるだろう?」

そう考え始めた途端、今まで見えていなかったことが次々と見えてきました。

「開いたときに券が曲がって入っていたら、お客様は嫌な気持ちになるかも。きれいに揃えて入れよう」

「少しずらして入れれば、何枚入っているか一目瞭然。お客様にわざわざ数えていただく必要がなくなるな」

気がつくと、私は考えうる限りの工夫を次々と試していました。

本当に面白いものです。全く同じ仕事をしているのに、私の中で仕事の意味が180度変わってしまったのです。

これが「仕事の意味づけ」の効果を実感した瞬間でした。

やるべき仕事や業務目標などは与えられた仕事なので、受け身になりがちです。そうすると、その仕事に精が出ません。しかし、その仕事を通して自分が得られるものや叶えたいことは何か、と考え、自分にとっての意味を見出すことができれば、自ずと主体的になるのです。たとえば、新しいスキル/経験/気づき/視野が得られる、人脈が広がる等、自分が手に入れたいものにつながると思えば、自然と前向きに取り組めるものです。

その頃の私には「帝国ホテルスタッフとしてふさわしい自分になる」が自分の叶えたいことでした。まさに朝食券のスタンバイという仕事も、どうやったら帝国ホテルらしい商品を自分がつくり出すことができるのかという考えに変わり、気持ちを込められるようになったのです。

もしやる気がなさそうにしているメンバーがいれば、今やっている仕事が本人にどのようなプラスの面があるのか、もしくは何につながりそうか、そうした視点を付与することもできることの1つなのです。