患者が吐露する「人生の後悔」

長年老年医学に携わっていると、患者さんたちから人生の後悔を吐露されることがあります。

特に多いのは、「お金をもっと使っておけば良かった」という後悔です。

『65歳、いまが楽園』(著:和田秀樹/扶桑社)

「もっと歳をとったときのことを考えると不安だから」と思って、定年退職をした後もそれなりに節約してせっせとお金を貯めているうちに、気がつけば体の自由が利かなくなっていて、お金はあるのにやりたいことができなくなってしまった、と言うのです。

「もはや海外旅行に行けるほどの体力がない」

「美食を楽しめるほどの胃袋も気力もない」

などと言ってため息をついたりされる様子を見ると、なんとも言えない気持ちになります。

だからこそ、これまでは節約を常に心がけてきた方の、体も心も現役とほとんど変わらないシニア世代の仲間入りをしたばかりのタイミングからは、お金をどんどん使う人生に切り替えるべきではないかと私は思うのです。