「使い切れなかった財産」が社会を貧しくする

ただ、「ああ、もったいないことをした」と後悔しつつも、最終的には「そのおかげで多くの財産を子どもたちに遺すことができた」と誇らしく思いながら死ぬ人のほうが多いのかもしれません。

けれども、これだけ超高齢社会になっているわけですから、相続人となる子どももすでに50〜60歳くらい、場合によっては70歳になっていることだってあり得るのです。この年齢になって親の財産を当てにしなければやっていけないようなケースは滅多にないでしょう。

(写真提供:Photo AC)

そうなるとこの人たちが自分の子どもたちに遺す財産が増えるだけで、使われないままのお金はますます増えていきます。

この悪循環が続く限り、日本経済の回復は到底見込めません。

若い人たちがいつまでも所得が増えずに苦しみ続けているのは、シニア世代があまりお金を使わず、多額の遺産を遺してしまうことも一因になっているのではないかと私は思っています。

※本稿は、『65歳、いまが楽園』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

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65歳、いまが楽園』(著:和田秀樹/扶桑社)

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