私たちが求めていた豊かさのかたち

たとえば、季節を感じる暮らしの中の余白です。

夏のはじめに青梅を洗って、梅仕事に没頭する時間。

薬味の香りに目を細めながら、旬のものを丁寧に調理する手。

どれも“特別”ではありませんが、だからこそ、私たちの内面をゆっくりと潤してくれるのです。

『「品のいい人」が大切にしている「和」の習慣』(著:詠月/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

また、何もかもを見せる時代にあって、見せない美しさ、語りすぎない気配は、むしろ品よく、芯のある美に映ります。

控えめに佇む花のように生きている人は、どこか凛としていて、魅力的です。

暮らしのペースを、自分の呼吸に戻す。

あせらず、丁寧に手をかけて育てていく。

ことさらに見せようとしない。

そんな時間こそが、本来の私たちが求めていた、豊かさのかたちなのではないでしょうか。