何がきっかけでもいっぱい来てほしい。でも…

――歌舞伎界を描いた映画『国宝』の大ヒットで、歌舞伎を見る人が増えているという。玉三郎さんには、シネマ歌舞伎を見てくれた人に歌舞伎に興味を持ってもらい、劇場に来て欲しいという気持ちはあるのか。

基本的にはありません。シネマ歌舞伎のお知らせすることは大事だけれども、何々をしたから劇場に来てほしいということはないのです。究極を言えば、何がきっかけでもいっぱい来てほしい。でも、「これだから来られるでしょう」とか「これだから歌舞伎って分かりやすいでしょう」という意識は、私には全くありません。分からなかったらそれでいいし、仕方がない。皆さんにたくさん歌舞伎を見に来ていただきたいし、いいものを作ろうという意欲だけはあります。それ以上、説明することは私にはないのです。