苦しんで苦しんで……
といっても、自分の台詞を覚えればおしまいというわけじゃない。相手の言葉を聞いて、それに気持ちが反応して自分の台詞が出てくるのがお芝居であって。相手の言葉の中に自分との対話のヒントがあるわけだから、自分以外の台詞も覚える必要がある。
僕も最初は自分のことで手一杯だけど、意識していれば、稽古を重ねる中でどんどん相手の言葉を聞けるようになっていく。
そうやって心も体も自由に動くようになり、セットや衣装も含めてその世界に入ってようやく役を生きることができるんだよ。そこまではもう、苦しんで苦しんで苦しんで苦しむしかない。
ましてや新作の場合は簡単にはいきません。苦しみがいっぱい待っている。覚悟してます。「苦しむということは、呼吸するのと同じくらい人間的なことなんだから」と、僕の演じたダンブルドア先生も言っていましたね。(笑)