人生の後片付けなどしている暇はない

同級生と話していると、「自分の死後、子どもに迷惑をかけないように、今から身辺を片付けているんだ」という人がいます。それを聞くたびに、私はこう考えるのです。

「身辺を片付けている暇なんか、ない。生きているうちに、自分のやりたいことをやったほうがいい」

まだまだ行きたい山はたくさんあるから、人生の後片付けなどしている暇はない。天命をまっとうするそのときまで、大好きな山に登り続けたいと思うのです。

※本稿は、『人生、山あり“時々”谷あり』(潮出版社)の一部を再編集したものです。

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