水槽がでかいと、掃除も一苦労

水槽の掃除。それは、餌やりと並んで水族館の大事な業務。皆さんの家に埃がたまるように、生き物を飼っていれば、水槽内は汚れてくる。水の汚れは濾過と換水でどうにかできるが、それ以外の汚れは専用の掃除をしなくてはならない。

水槽の汚れで最も大きなものが「コケ」と呼ばれる藻類である。これは、庭の雑草とは比較にならないほどの頻度で生えてくる。そりゃ、深海魚の水槽でもなければ水槽は光で満たされているうえ、生き物が水中に(老廃物として)肥料をまき散らしているようなものだからね。

だから、ガラス面、擬岩(※)、そして底の砂に至るまで、丁寧にこそげ落としてやらなければならない。特にガラス窓なんて、下手したら一日放置すれば曇りガラスのようになってしまうからね。

また、掃除と言えば、死んだ生き物の回収も忘れてはならない。生き物は死んだ瞬間から腐敗が始まるから、どんどん水が悪くなるし、なにより死んだ生き物がいるとお客さんが心配する。だから、定期的に巡回して、死んだ生き物がいれば回収しているというわけだ(ただし、先ほど述べたように、餌として敢えて入れられている可能性もあることを付記しておく)。

この水槽掃除は、当然大水槽であればあるほど大変になる。頻繁に水を抜くわけにはいかない都合、人間の方が潜って掃除をしなければならないからだ。だから、時に大水槽にスタッフがボンベを背負って潜り、ガラス面や背景を掃除している様子が見られることがある。筆者も研究でダイビングをするからよく分かるが、水中の作業というものは、水の抵抗でめっちゃ疲れるのよ。日々重労働お疲れ様です。

※人の手で精巧につくられた偽物の岩のこと