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新型コロナウィルス感染拡大で全国の小中学校の67%が臨時休業を余儀なくされている(4月10日、文部科学省調べ)。そんななか、萩生田光一文部科学大臣が4月10日の会見で「特例として、一定の要件のもとで行われた家庭学習の内容を改めて授業で対面で教える必要はない」との通知を発したと公表した。これを報道で知った親たちの間では、「学習面の格差が広がるのでは」と不安の声が上がっている。北海道で、夫と小学4年生の娘と暮らす漫画家の瀧波ユカリさんは、この報道をどのように受け取めたのだろうか。(文=瀧波ユカリ)

学校現場と自治体の人々は、奔走している

首相の鶴の一声による全校休校が実施されたのは、3月2日。北海道ではそれよりひと足早く、2月28日より北海道知事の判断で休校が始まっていた。3月に分散休校が3回ほどあり、そのまま春休み期間に突入。その後、東京など感染の拡大がみられる地域ではGWまでの休校延長が決定。北海道は予定通りの新学期だったが、4月14日より再び休校になることが決まった。

我が家では、不安を感じたために休校の正式決定前から小学校を休ませていた。我が子の通う小学校では、そういった場合でも家庭学習用のプリントを提出すれば欠席扱いにならない。市が自主休校のためのガイドライン作成をスピーディーに進めてくれたことを、大変ありがたく思う。

14日以降の宿題プリントもすでに手元に届いた。小学4年生用のプリントの内容はというと、「授業の代わりとしてのポイントもおさえつつ必要最小限。親の負担もよく考えて作られていると思う」(by夫。我が家では家庭学習は夫の担当)。学校現場と自治体の人々は、文字通り奔走している。

一方、文部科学相は記者会見で、家庭学習は授業と同じく学習評価に反映できるとし、再度の指導が不要と校長が判断すれば学校再開後に授業で扱う必要はない、と話した。

つまり、休校期間中に行うはずであった授業内容を学校再開後にやらない可能性がでてきたということだ。

私はこれを、恐らくは小中学校が来年度末までにこなさなければいけない授業内容を達成できない場合を想定しての、苦肉の策のようなものではないかと感じた。順を追って教える算数などの教科はそうもいかないだろうが、たとえば国語であれば内容によっては1章とばしてしまっても学力に直接的には響きにくい。帳尻を合わせるための現場判断ができるようにしたい、ということなのではという気がする。