(画像提供『精神科医が教える 休みベタさんの休み方』/イラスト:高旗将雄)
「本当は疲れているのに<いつのまにか、休みたくても休めなくなってしまう>人がいる」そう警告するのは、産業医として活躍する精神科医の尾林誉史先生です。尾林先生は、サラリーマン時代に自身や周囲のメンタル不調に遭遇。そこで見た産業医の現状を憂い、産業医になるために会社を退職、医学部へ進学し精神科医となりました。そんな尾林先生が休めなくなってしまった人へ、やさしく「休み方」を教える著書『精神科医が教える休みベタさんの休み方』より、一部を抜粋して紹介します。今回は「体と心と脳の疲れ」の関係について。

疲労で脳はダメージを受ける

毎日忙しい、仕事がしんどい。そう感じるのは、あくまで気持ちの問題で、特に体のどこかが悪くなっているわけではない、と考える人も多いと思います。

ところが、そうでもないのです。

疲れるとは、脳が疲れるということも指しているのです。

ハードな仕事はもちろん、激しい運動も人間関係のトラブルも、心や体のみならず脳にも過度な負担をかけることになります。要するに、多かれ少なかれ、疲れたときは脳もダメージを受けているのです。

通常の脳は、正しく酸素を使いながら動いています。

しかし、過度のストレスをかけられた状態が続くと、活性酸素という体に良くないはたらきもする物質が発生してしまいます。

ここから、細胞の酸化という現象が起きて、脳の細胞がダメージを受け、脳本来のはたらきができなくなっていく。

これが脳疲労というものです。

疲れというと、「体の疲れ」「心の疲れ」「脳の疲れ」という別々のものがあるというイメージの方もいるかもしれませんが、実はこれらは複雑に絡み合っています。

体や心が疲れているということは、結局、脳も疲れているということで、脳をなんとかしてあげないといけないということになります。